@chinjuhさんと読む草双紙・はてな出張所

ばけものが出てくる草双紙のあらすじ等をまとめたものです。草双紙は江戸時代の絵本です。

児噺舌切雀(おさなばなししたきりすずめ)

翻刻実況風動画
www.youtube.com
1時間ちょっとの動画です。長いのでのんびり見てください。
 
おさなばなししたきりすずめ
児噺舌切雀
発行年:不明(江戸時代後期)
作:不明
画:不明
版元:西村屋
 
都立中央図書館所蔵
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100093645/

登場人物

弥五太夫:子供たちがいじめている雀を買い取って助けてやる良い爺さん
新八(しん八):弥五太夫のお供をする下人。
お梅:弥五太夫の娘
倹飩婆(けんどんばばあ):弥五太夫の妻、お梅の母。よくばり婆さん。
舌切雀:婆さんの洗濯のりをなめて舌を切られる
雀の親
雀の芸者衆

物語

 昔話の舌切り雀そのものだが、倹飩婆(よくばり婆さん)が真似をして雀のお宿に行く下りが省略されている。

 子供たちが雀をいじめ殺そうとしているので、良い爺さんの弥五太夫は子供たちから雀を買い取って助ける。雀を家に連れ帰ると、娘のお梅がたいそう喜んだ。ある日、雀が倹飩婆が煮た洗濯のりをなめてしまったので、怒った婆が雀の舌を切ってしまう。
 弥五太夫とお梅は飛び去った雀を追って雀の隠れ里へ。雀たちに歓迎され、美味しい料理と芸者衆の芸でもてなされる。芸者衆は瀬川菊之丞女形役者)のまねをして踊る。
 軽いつづらと重いつづらを土産にもらい、帰宅する弥五太夫とお梅。家で待っていた倹飩婆は重いつづらを選び、弥五太夫は軽いつづらを選んで開けてみると、弥五太夫のつづらからは宝物ばかりがでてきて、倹飩婆のつづらからは化物ばかり出てきた。

翻刻:児噺(おさなはなし)舌切雀(したきりすゞめ)全

 以下の翻刻は動画の中で作ったものを少しだけ直したものです。

コマ4

中むかし
のこと な
    る
    にさる
    いなかに
ものゝ
弥五 太夫といふもの
あり心正じきにしてじひ
ふかくあるときよそより
かへるみちにこどもあまた
あつまりすゝめを一はとらへうち
ころさんとする弥五太夫こどもに
ぜにをとらせすゞめをもらいてわが
やにかへる

しん八ともする
 すたちてごさります

こともそのすゞめをおれにうれ
 みんなにぜにをやらふぞ

しいさまおれにも
せにを
下さい

コマ5

弥五太夫すゝめをかいとり
うちをもとり
むすめ
お梅
によろこばする
お梅すゞめを
てうあいする

むすめうれしがる

けんとん【倹飩】
ばゝア
はら
たてる
【婆の台詞】
おやつかな
なんにすべい
つんにかさつ
     しやい

【しん八の台詞】
百でかいました

【弥五太夫の台詞】
コレむすめちいか【ぢいが】
よいみやけ
やろう

はゝア

せんたく
するとてのり
をにてさましおきけるかの
すゞめかこよりいでのりをすこし
なめけれはけんとんはゝア大きにはら
をたちなさけなくもすゞめ
のしたを切てはなしける

【婆の台詞】
につ
くい


めた
いそが
しい

せつかく
にたのりを
みんななめ
おつたはら
かたちヤ
【お梅の台詞】
〽かゝさまむ
こひ
こと



ますな

コマ6

弥五太夫すゞめをふひんにおもひ
おむめ【お梅】がてを
ひき
たつねに
出けり

〽おやすゝめ【親雀】
弥五太夫が こゝろをかんじすげの
まつはらまでむかひに出れいを
申てともないゆき大ふん
ちそう
する

下人新八

【お梅の台詞】
したきれすゞめちよつ〳〵〳〵

【しん八の台詞】
たんな【旦那】
むかふが
すゝめどのゝ
うちかなさて
〳〵けつかふな
もんかまへかな
おむめさますゞめ
どのにあいますそ
大ぶんくたびれた

【弥五太夫の台詞】
しらかべつくりのすゞめどのゝところはこれかな
きさまは
けらいしゆか

すゞめの
かくれさと
もんかまへ

【舌切雀の父親の台詞】
弥五太夫
さまよふこそ
おいてな
されまし
たこの
ほうの
むす
めご

いかひ
よろこ
ひて
こさります

【お梅の台詞】
はやく
すゝめ



あいたう
こさる

コマ7

【弥五太夫の台詞】
こなたのしたはなをり
ましたか
これはきくの
しやうかした【菊之丞がした】
やりお
とり
じやの【鎗踊りじゃの?】

むすめ
おもしろ
がる
【お梅の台詞】
しん八
おもしろ
いの
チト
ほめやれ

【しん八の台詞】
イヨ〳〵
おらかせがは
さまめ
【雀の台詞】
おぢいさま
こちそうに おど りを
申つけ
まし

おむめさま
よふごら
んあそ
ばし
ませ

弥五太夫へちそうに
すゞめのげいしやども
せがはかおとりし
しよさことを
する

チヽ
てん〳〵
チリ〳〵つて

〽さまにあふてのあさ
がへりけしきたのしむ
おとこはだてに又と
あるあい一だいやつ
こしかしこよひは
かりねのまくら
こいの中のてう
おさきで
ふれ〳〵
おともて
ふれ〳〵

すゝめでせ
がつてんだ
よいやさのサ
ようをいと

コマ8

すゞめの
けらいとも
すこしの
うちも弥五
太夫になしみて
なごりおしがり
みな〳〵いとま
こひをする

弥五太夫かりそめに
すゞめのもとへたつね
きたりてゆる〳〵ちそうにあい
みやけにつゝらをもらいてかへる
ばゝさまへもみやけせんとて
おもきつゞらをしん八にしよ
わせてかへしける

【弥五八の台詞】
〽サテ〳〵ちよつときて
ひさしくとうりうしまして
いかひそうた【?】になりましたゑんも
あらばそのうちあいましやう
さらば〳〵

【しん八の台詞】
〽だんな
わたしは
つゞら
は大
ぶん

もふ
ござ
ります

すゝめな
こりのところ

【下人その2の台詞】
すゝめどのさらば〳〵
このつゝらは 大ぶん
かるい
そ〳〵

【お梅の台詞】
かゝさまがまつて
ござろうはやくまいり
ませう

コマ9

じゝはうちへかへりすゞめに
もらいしかるきつゞらを
あけて見れば
きん〴〵たく
さんにいろ〳〵
けつこうなる
ものばかり
いでゝ一しやう
ゑいぐはに
くらし
ける

【弥五太夫の台詞】
サテ〳〵
おひ
たゝしい
たから

めで
たい
 〳〵

〽けんどんばゝは
どふよく
なれば
おもき
つゞらのふた
をあけて
みれはいろ〳〵
のはけ
ものいでゝ
ばゝアにくひつく

【婆の台詞】
ノフ
 こわや〳〵

【化物たちの鳴き声?】
■■■
ぐは〳〵



雀の隠れ里でもてなされる場面
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