@chinjuhさんと読む草双紙・はてな出張所

ばけものが出てくる草双紙のあらすじ等をまとめたものです。草双紙は江戸時代の絵本です。

化物世帯氣質(ばけものせたいかたぎ)

https://honkoku.org/app/#/transcription/9D61092EC482751E687C188D44347857/3/
# 上記リンク先ではくずし字の原典と、それを現代の文字に置き換えた翻刻文の両方を読めます。

ばけものせたいかたぎ
化物世帯氣質
発行年:1820(文政三)
作:晋米齋玉粒
画:歌川美丸

登場人物

化物の親玉、見越し入道
その妻、雪女
金時(坂田金時
きつね
船幽霊、水売り
播州のお菊、皿の継ぎ焼き屋
河童、骨接ぎ薬製造
元文福茶釜のたぬき、茶の湯の師匠
別のたぬき、腹鼓の師匠
豆腐小僧、豆腐売り
うぶめのとり、乳母奉公
鬼、奉加帳を持って諸国をめぐり、後に大津絵に描かれる
悪役、古寺のたぬき
その仲間、のらねこ

物語

 ばけものたちが見境なく人をだまし脅かすのをやめないので、見越し入道は金時に相談に行く。金時は適材適所をみきわめて家業を作ってやればいたずらはやめるだろうと助言する。見越しはその通りにすすめるが、古寺のたぬきとのらねこが言うことを聞かないので、金時が出てきてこらしめる。こうしてばけものは人をこわがらせることはなくなった。

ちょっと解説

 今はどうしてばけものがいないのかを説明する話ですが、江戸中期によくあった箱根の先系の話(人のほうが一枚上手だと気付いて逃げ出す話)とは一味違うものになっています。

 坂田金時(金太郎さんが大人になってからの名前)と息子の金平はばけものの敵として多くの草双紙に出てくるヒーローです。特に説明がなくても、金時・金平といえばばけものを退治して追い払う役だとわかります。同じ役目で朝比奈三郎の名前が出てくることもあります。

メモ

・化物の親玉が見越し入道
・見越し入道が三つ目
・見越しの妻は雪女(ほかの話ではろくろ首が妻という設定が多い)

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お菊の継ぎ焼き屋と河童の骨接ぎ薬屋(左)/舟幽霊の水売り(右)
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三つ目として描かれる見越し入道