二日替(ふつかがわり)
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# 上記リンク先ではくずし字の原典と、それを現代の文字に置き換えた翻刻文の両方を読めます。
ふつかがわり
二日替
発行年:1790(寛政二)
作:桜川親慈悲成(桜川慈悲成)
画:歌川豊国
登場人物
源頼光(らいこう)
坂田金時
その息子、時太郎
渡辺綱
その息子、綱次郎
見越し入道
その息子、一つ目小僧
その妻、ろくろ首のお六
お六の幇間医者、ぶらりひょん(ぬらりひょん)
お六の甥、河童
越後の大入道、ばけものの頭
時太郎の奴、はやすけ(早介)
綱次郎の奴、うですけ(腕介)
物語
頼光の命令で越後の国の大入道を生け捕りにすることになった坂田金時と渡辺綱。ふたりとも息子があり、殿への御挨拶もまだということで、子供たちにこの役目を任せることに。しかし時太郎も綱次郎もねっからの憶病者。しかし殿の仰せとあらば行かねば成らぬと、化物が出そうな古い家をみつけて、まずは綱次郎が夜明かしすることに。
ところで、皆様ご存知三つ目入道にも一つ目小僧の息子がいて、化け見習いでこの古い家にやってくる。そこには綱次郎が夜明かししているが、どうしても化物を見たくないということで、厚紙に団十郎の目を書いたのを面にして顔につけていた。それを見た一つ目小僧は「人間がおっかない顔をしている」と言って逃げてしまう。
翌晩は時太郎がやはり化物を見たくないということで、張り子の大頭をかぶって夜明かししていると、見越し入道の妻お六が、河童やぶらりひょんを引き連れてやってくる。時太郎が煙管を握りしめてしゃっちょこばっているのを見ると、化物たちは強そうな人間がいると思って逃げてしまう。
二人がどうやっても恐がらないので(内心びくびくしているが面や頭をかぶっているので平然としているように見える)万策尽きた見越し入道は越後の大坊主に相談する。数日後、古家に時太郎の奴・早介が現れて「急用があってお迎えに参りました」と言う。
早介が用意した籠に乗っているうち眠ってしまう時太郎と綱次郎。籠が振動したひょうしに目を覚まし、ふとあたりを見るとそこは元の古家だった。早介も籠も大入道の命令で狐が化けたものだった。そこへ化物たちが次々に現れたので、目隠しをしていない二人はびっくり仰天。一晩中ばけものに震えながら過ごす。
ようやく朝になり、化物は姿を消す。二人は「あの早介は化物だったのか」と気付くが後の祭り。今度来たら生け捕りにしてくれると手ぐすね引いて待ちかまえる。そこへ早介と綱次郎の奴・腕介が様子を見に来ると、二人は有無を言わせず襲いかかる。主のすることなので抵抗もできず、両奴はしばりあげられてしまう。
時太郎、綱次郎は化物生け捕ったりと自分たちの奴をつれて殿に報告にあがるが、今度は本物の奴だったので一同あきれかえる。しかし二人が手に汗握っているのを気の毒に思った頼光は、自分の家来にも油断しないのは天晴れであると二人を褒めるのだった。
メモ
- 長音記号として使われていると思われる「引」
- 化物の頭は越後の大入道。
- 見越し入道は大入道の手下。