@chinjuhさんと読む草双紙・はてな出張所

ばけものが出てくる草双紙のあらすじ等をまとめたものです。草双紙は江戸時代の絵本です。

化物楽屋異牒(ばけものがくやいちょう)

https://honkoku.org/app/#/transcription/138986F6153E71C2DA4DCA901E3F87B9/1/edit
# 上記リンク先ではくずし字の原典と、それを現代の文字に置き換えた翻刻文の両方を読めます。


ばけものがくやいちょう
化物楽屋異牒

発行年:1787(天明七)
作・画:山東鶏告(さんとうけいこう)

登場人物

狐のこんかい(こんくはい、こんくわい)、大通の講釈をする
見越し入道
雪女
猫又
河童
天狗
 など妖怪たち
遊女たち
九郎介稲荷(くろすけいなり)

物語

 狐のこんかい(吼噦、狐の鳴き声)は大通になりたいと思って人間に化け、京伝の店で通を一袋買って大通をきどり、妖怪仲間たちを集めて通の講釈をする。妖怪たちは時代遅れになりパッとしない状態だったが、こんかいの講釈で大通になったつもりで吉原へ行くが、正体がばれて大騒ぎになる。そこへ九郎介稲荷が現れて、こんかいがにわか大通を気取ったせいでデタラメな事になっているが、これからはみな吉原で生業を持って暮らしていけと、人間としての名前などを与えられ、それぞれ女郎屋や太鼓持ちなどの職業について繁盛する。

 話はそれほど複雑ではないが、江戸っ子言葉、遊女言葉で書かれており、難解な部分が多い。また当時の流行りや吉原の事情がわからない理解しにくい部分も多く、随所に洒落と、芝居の台詞などが含まれている。

用語

大通(だいつう)
 吉原遊びの通のこと。

京伝
 戯作者の山東京伝のことで洒落本を多く書いた。洒落本は吉原を題材にした小説。この本の作者・山東鶏告の師匠にあたる。京伝は銀座に喫煙用小物を売る店を持っていたとか。

メモ

  • せむしだいじん、不明
  • わいわい天王、天王祭で猿田彦の面をかぶって牛頭天王のお札をまいて金銭を乞う物乞い。
  • 芥子之介(けしのすけ)、浅草寺にいた芸人の名前、もしくは芥子人形のことか
  • しゃみこ踊り(三味子踊り)、シャムの踊り
  • ぶくぶく茶釜に毛が生えた
  • 無間の鐘、叩くとお金が出てくるが叩いた者は無間地獄に落ちるという鐘。
  • どうした表裏の瓢箪か(どうした拍子に、の意味)
  • ねこのこねこのこねこのこ(子子の子子子の子子子の子)
  • するけふし(教えますとか、師範ですというような意味らしい)
  • おちやつひい(おちゃっぴぃ、お茶っぴき。売れ残りの遊女の事。またおしゃべりででしゃばりな女の子のこと)

この本に関する自分のツイート

 翻刻している最中のものなので、勘違いを書いたりしてる可能性はあります。

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妖怪たちが吉原で生業を持ち成功するラストシーン