@chinjuhさんと読む草双紙・はてな出張所

ばけものが出てくる草双紙のあらすじ等をまとめたものです。草双紙は江戸時代の絵本です。

妖物十番斬(ばけものじゅうばんぎり)

https://honkoku.org/app/#/transcription/E0165651A13BFD3536B8A4393BB63CCE/1/
# 上記リンク先ではくずし字の原典と、それを現代の文字に置き換えた翻刻文の両方を読めます。

ばけものじゅうばんぎり
妖物十番斬
発行年:
作:観水堂丈阿
画:不明

登場人物

【人間】
かわづか三郎左衛門、狩人
その女房おまん
その息子、兄の万市。後につがや一九郎と名のる。
同、弟の百松。後に時五郎と名のる。
つがや太郎八、おまんの再婚相手。兄弟の義父。
髪結い時左衛門。寺を飛び出した百松の親代わりとなる。
かわづかの狩人仲間もり山弥太八
同、舟(フルネーム不明)
かわづかの家来、鬼介
その弟、郷三郎
庄屋
領主

【獣たち・ばけものたち】
うさぎ
いのしし
さる
きつね
 皆かわづかに妻子眷族を殺され憤る。
入道、年をへた夜たぬきが化けたもの。獣たちに仇討ちを頼まれる。
ろくろ首のおぬけ

物語

 狩人・かわづか三郎左衛門は、狩りの途中で何ものかに襲われる。かわづかに家族を殺されたけだものたちが「入道」にたのんで仇を討ったのである。狩人仲間二人がかわづかを見つけた時は瀕死で、間もなく息を引き取る。それを聞いたかわづかの妻子と家来鬼介おおいに嘆く。

 妻のおまんは庄屋のすすめで息子の万市を連れてつがや太郎八と再婚。もう一人の息子、百松は市の菩提のため寺へ法事するが、ある時夢に父の最後の様子を見て仇討ちを決意。寺を飛び出したところで髪結いの時左衛門に出合い、名付け親になってもらった上、何かの役に立ててほしいと金子をもらう。以後、百松は時五郎と名のる。

 兄、万市はつがや家の息子となり、つがや一九郎と名のっている。時五郎が忍び来て夢の話をし、ともに仇討ちを決意するが、そのことが母おまんに知れて猛反対された上、親子の縁を切られてしまう。しかし兄弟力をあわせ入道とたちむかい見事本懐をとげる。入道の首を取って家に帰ると母も勘当を解き喜ぶ。所の領主からもお褒めがあり、二人に五百石ずつ褒美をくだされた。

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狩人である父・かわづか三郎左衛門が狩り出かけるシーン

# この本は印刷時の潰れやかすれ、経年劣化による破れなどが多数あり、大変読みにくい状態ですが、達人たちの手によってストーリーがわかる程度にまで翻刻されています(この人たち神かなんかかしら、ほんとに!)。