化物一家髭女(ばけものひとつやのひげおんな)
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# 上記リンク先ではくずし字の原典と、それを現代の文字に置き換えた翻刻文の両方を読めます。
ばけものひとつやのひげおんな
化物一家髭女
発行年:1770(明和七)
作:不明
画:富川房信
登場人物
横川郷介(よこかわごうすけ)
おまん、亀崎権之進の娘
小津友三郎(こづともさぶろう)、おまんの夫
可内(べく内)、郷介の奴
物語
横川郷介という侍がはおまんという娘に言い寄るが、おまんは小津友三郎に嫁いでしまった。郷介は奴の可内とともに小津邸に忍び入りおまんの寝首をかいて逃亡する。その途中、可内を口封じのために殺し、自分は甲州の山かげへ逃げ込む。
郷介は逃亡先で一人暮らしの瞽女(ごぜ)と出合い、夫婦となるが、瞽女が身重になると面倒になり切り殺す。瞽女は息絶える前に郷介の肩先を食いちぎる。
山奥に化け狐がいる。あるいはおまんや瞽女の魂が変化したものかもしれない。
小津友三郎は妻の仇を追って旅に出る。
郷右衛門(急に名前が変わるのは偽名を使っている設定か?)は甲州から逃げ出し、女房ひとりで留守居をする家に泊まり込むが、実はこの女房、正体は狐である。
郷介は女房に口説かれ夜が更けるまで話し込むが、ふと見ると女房の顔に髭が生え可内の顔になる。おまんの首が現れ、郷介を見て笑い、瞽女の霊は殺された恨み言を言う。郷介は刀を抜いて切り払い、足任せに逃げる。
郷介は辻堂に逃げ込み破れた戸を取り払うと、目玉が三つある痩せ枯れた女の化物が現れる。縁の下には恐ろしい入道。また瞽女が牛にのり三味線を弾きながら現れる。大きな女や、大きな一つ目小僧なども現れ、郷介を悩ませる。
そこへ妻の仇を追う小津友三郎が通りがかり、誰もいないところでひとりおびえては暴れる郷介を見つける(この時点では仇だと気付いていない)。郷介は疲れ切って気を失い、村人たちが集まってきて「酔っ払いか、きちがいか」と噂する。
小津は郷介に薬を与えて介抱しわけを聞く。郷介はおまんの夫とは知らずすべてを語る。小津は妻の仇を討ち、本国へ帰る。殿より褒美として加増され、末長く栄えるのだった。