化物和本草(やまとほんぞう)
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# 上記リンク先ではくずし字の原典と、それを現代の文字に置き換えた翻刻文の両方を読めます。
ばけものやまとほんぞう
化物和本草
発行年:1798(寛政十)
作:山東京伝
画:北斎可候(葛飾北斎)
物語
本草綱目のような博物書の体裁で、当時の流行りなどを茶化すギャグ要素の濃い読み物。
- 獅子身中の虫(忠臣蔵七段目のパロディ)
- 平気蟹(平家一門の男子の一念は平家蟹に、女子の一念は平気蟹になる)
- 歌舞伎三階図会に曰(暫と悪役のパロディ)
- 寒ぶから蛇(魔よけのために村境に掲げる蛇のことを言いつつ何かべつのものを暗喩しているらしい)
- 爪の火(ケチをおちょくったもの)
- 温飩げの花(優曇華ではなく、うどん好きの花)
- 四四しんちうの鼡(真鍮について語りつつ、何かのお芝居のパロディになっている模様)
- 金のなる木(金のなる木は確かにあると説くが、よくよく見ると実がすべて仕事の道具になってしまうので、地道に働けと言っている)
- 利欲の鳥(比翼の鳥ではなく、欲まみれの鳥)
- 奴のひぼし(異国の珍しいものに大金をはたいても、異国ではつまらぬ日常品かもしれない)
- 癇癪の虫
- 六足の駕籠(三人で担ぐ急ぎの駕籠=三枚肩をパロっている)
- ミイラ取りがミイラになる
- うその皮、一名すっぱの皮(嘘つきをモモンガのような獣にたとえてちゃかす)
- 両頭の筆(めったやたらに色紙や扇に自作を書きたがる詩人まがいをちゃかす)
- 手の長い猿(手長猿について語りつつ、何か別のものをちゃかしていると思われる)
- 山の神の角、あしか、頭の黒い鼠
メモ
- がてんかがてんか(よくわかりましたか、という意味だが、合点か合点かと二度繰り返すのが決まり文句)
- てながいのやすたり三十八もん(不明)
- あしか(よく寝る動物として知られていた)
- 猫足の家具(この頃の流行りか)
- 可候または可侯は葛飾北斎の別名
- 巻末に京伝が銀座でやってた店の宣伝がある
- 京伝の贋作が売られていたらしく、道で売られているものは自分の作ではないという注意書きも。